それまではちょっとギャグっぽいと言うかキャラの色も濃いし、ネタっぽいストーリーなのかな?と思いきや、この16〜17話で、一気に深い闇へと突き落としてくるのがあんスタです。
では、気になるその深く重い闇の序章を、ネタバレでご紹介します。
■メインスト16話ネタバレ
B1の騒動に巻き込まれ、気絶してしまった主人公を、保健室へと運ぶ北斗。
あれこれ話しかけるも意識はなく、改めて主人公がか弱い女の子である事を自覚する北斗。

自分は、そんな弱い存在を戦場に叩き込もうとしたと、苦しげな顔。
そして、意識のない主人公に向かって、謝罪を始めます。
自分達は、主人公が何も知らないのを良い事に、勝手な希望を押し付けて騒動に巻き込んでおいて、事実を何も語ろうとしなかった。
今の夢ノ咲の現状を。
夢ノ咲は『アイドルの、アイドルによる、アイドルのための学び舎』だと言われているものの、その本質は少し違っている。
あくまでも、“よい”アイドルの為の学び舎であって、“よくない”アイドル、いわゆる劣等生は永遠に日の目を見る事なく、ただ埋もれていくだけ。
誰もが夢と希望を抱き、努力すれば報われると信じて、この学園に入学してくるが、現状それは叶わない。
期待は裏切られ、努力は実らず、個性を潰されて、学院の掲げる理想像に当てはまったアイドルのみが大量生産される。
確かに夢ノ咲出身のアイドル達はみな優れているが、それはあくまで作られたもので、人間味がない。

商売としてはそれで成り立つが、個人が描いた夢はどうなるのか?
学院の定めた枠からはみ出ようとするものは、淘汰され、踏み潰されていくが、その事を誰も疑問に思わない。
と言うよりは、下手に逆らえば、上から捻り潰されるだけなので誰も正そうとしない。
非公式のドリフェスは弾圧され、公式のものは八百長が常習化し、勝つユニットは最初から決まっている。
生徒会に属するユニットしか、勝てないようにシステムが組まれ、一般の生徒達もまた、生徒会に逆らえないが故に、生徒会のユニットに投票をする。
夢ノ咲では生徒会が全て。
個人が本当にいいと思ったものに投票する事さえ許されない現実。
この学院ではあらゆる個性が殺されて、夢は死んでいくしかない。
一度劣等生のレッテルを貼られたら、二度と起き上がれない。
北斗達は、そんな学院を変えたいと思っているみたい。

■メインスト17話ネタバレ
北斗達は無力で、敵は学院を牛耳る権力構造そのもの。
勝てる確証などなく、むしろあっけなく踏み潰されるかも知れないが、それでも決めた。
北斗は、自分だけならまだ我慢できる。
だけど、他の才能も熱意もあり、努力する人間が潰されてしまうのは我慢ならない。
北斗にとってはそれは、まさにスバルの事です。
スバルは一見バカだけど、こんな歪んだ学院の空気を読まず、好きなものを好きだと言える真っ直ぐさを持つも、それが煙たがられて結果スバルはこの学院で浮いてしまっていた。
昔のスバルは、1人で笑って歌って踊る、滑稽なピエロのようだったと北斗は悲しげに目を伏せます。

スバルのように、真っ直ぐに夢を追う事を許されず、人を楽しませる事も、笑顔を振りまく事すら許されないなら、ここは地獄だ。
絶対に認めないと北斗は言い放ちます。
真は、本人が望まない形で才能を見出され、言いなりになるように仕事をこなしてきた。
結果、心を殺し、ロボットのようになってしまっていました。
周りはそんな真を褒めるも、真の心はドンドン擦り切れて、ついに決壊してしまった。
今の真は、砕け散った心の残りカスを丁寧に拾い集めようとしているみたい。
だけど、周囲は手のひらを返したように真を落ちこぼれ扱いした。
自分達は心のある人間。
喜怒哀楽があって然るべき。
赤ん坊の頃から人間扱いされてこなかった真は、今になってようやくそれを学び始めている。
そんな真の努力を嘲笑うのは間違っている。
自分は真を支え、共に歩みたいと北斗は語ります。
Trickstarは、そんな風に夢や生き方を否定された者たちの集まり。
同じ痛みとこの学院を変えたいという思いを抱き、結束した仲間。
夢も希望もないこの学院の中で、唯一寄り添える同胞。
いつか花開く日を夢見て、一生懸命足掻いている。
今の夢ノ咲に蔓延る、死んだ魚の目をしたそれは、自分達の夢見たアイドルではない。
自分達は、この学院に革命を起こし、この腐りきった現状を打開する。
その為に命を尽くす。
その覚悟を北斗達は持っていました。
だけど、その野望に何も知らない主人公を巻き込もうとしたのは間違いだった。
主人公の気持ちを考えずに行動しては、生徒会と同じ事。
学院の新風とも言える主人公を味方に得れば、救世主になってくれるかも知れないと勝手に期待した。
普通の女の子だという事を忘れて、振り回して傷つけてしまった事を、心から詫びる北斗。
主人公がどちらの味方になるかは、まだ分からないけれど、それでも期待する。
新たな存在の主人公が、希望を咲かせてくれる事を。
北斗達にとって、主人公は、かけがえのない夢そのものでした。

【完】