
その様子を呆れ半分で見送りながら、チェスの現状について話す英智とつむぎ。
チェスは傍から見れば快進撃を続けているのに、なぜレオはそれが不満なのか理解できない様子の英智。
ふとつむぎは、なぜレオを五奇人にしなかったのかと尋ねます。
けれどそれは英智の頭の中にすらなかったと。
実際、英智もレオは五奇人に匹敵する実力者だと認めてはいる。
それなのに、候補にすら上がらなかった理由。
それは、英智自身がレオとは戦いたくないと思っていたから。
懐いてくる子どもを殴りつけるようで気分が悪い。
それと、もう一つ。
英智の見立てでは、レオはこれからも大活躍を続ける。
けれど、激しい闘争で満身創痍になり、周りからもひどく怨まれるようになる。
みんなに愛され、憧れられているものを反転させるからこそ、革命になる。
最初から憎悪を浴びている子には、自分の手法は適用できない。
だからこそ、レオは革命の駒にはならないと英智は語ります。
けれど、そんな理由をいくら並べても結局はレオを仲良くしていたい、という気持ちが大きいみたい。
レオの作る曲が、あまりにも愛おしいから。
ガーデンテラスで歌の練習中の泉。
ようやく難曲を最後まで完璧に歌えるようになり、満足げな様子。
それもこれも、なぜかレオが泉のパートだけ難易度が高い設定にするから。
それを泉はレオに嫌われているからだと思っているみたい。

でもそもそもレオが世話が焼けるからいけない。
お弁当を忘れてたかりにきたり、パジャマのまま登校したり。
泉としてはそんなレオが少し恥ずかしい。
でも今のチェスにレオは必要不可欠で、我慢してでも機嫌をとる必要がある。
なんだかんだ言いつつ、泉はレオの曲は嫌いじゃないと言い、末永く仲良くはするつもりみたい。
ついつい愚痴っぽくなって集中が切れてしまった泉。
最近の泉達は嫌われ者らしく、レッスン室を借りるのも妨害されがち。
でもレッスンならいつでもどこでもできる。
僅かな時間の隙間を利用して、泉は毎日己を高める努力をしてきた。
だからこそ、他人の足を引っ張るだけの能のない連中とは違うのだと自負しています。
再び歌い出す泉ですが、そこにレオが現れて、音程がずれていると指摘します。
突然のレオの登場に驚く泉。
けれど、それもそのはず。
なんとレオは茂みの中から出てきました。
驚く泉に得意げなレオですが、泉はすかさずもっとリーダーらしくしろ!と説教を始めます。
けれどレオはなぜかだんまり。
どことなく元気もなく、いつもならガミガミうるさいと噛みついてくるはずなのに……とちょっと心配になる泉。
急に優しくなる泉に、タイミングがわかりづらいと笑い飛ばすレオ。
でも泉に言わせれば、自分はいつも優しいし、怒られるのは怒られるほうに問題があるから。
そうはっきり言う泉に、レオは素直に迷惑かけっぱなしでごめん、と謝ります。
でも、前のオセロやバッグギャモンの時に比べれば全然マシ。
むしろ充実感がある。
戦って気に入らない連中をブチ倒すのは快感だと、今の状況に泉はそれなりに満足しているみたい。

泉のその言葉を聞き、意味深な相槌を打つレオ。
言葉を飲み込んだようなレオの態度に、やっぱりらしくないと泉は心配するも、レオはまるで何もなかったかのように明るく笑います。
けれど、急に疲れたと言い、泉に抱き着くレオ。
暑苦しいと邪険にさせて、すぐにごめんと謝るも、レオのごめんは軽いのだと不満げな泉。
でも、それもそのはず。
レオは自分がリーダーになるまで、絶対に自分が悪いと思ったことはなかった。
そもそも『悪い』がなんなのかよく分かっていないみたい。
話は変わり、レオはいつの間にリトル・ジョンと仲良くなったんだ?と尋ねます。
聞き慣れない名前に首を傾げる泉ですが、リトル・ジョンは泉のすぐ隣にいた猫のこと。
けれど泉はその存在にすら気付いていなかったみたい。
どうやらリトル・ジョンは泉の歌声が気に入ったらしく、可愛らしく身を揺すっていた。
その様子にインスピレーションを刺激されたようで、興奮気味のレオ。
近頃スランプ気味だったようで、余計に嬉しいみたい。
レオがスランプと聞いて、勘弁してくれと顔をしかめる泉。
今のチェスは分裂状態で、泉達はその中でもはぐれ者の集まりになっている。
レオの曲という武器がなければ、まともに太刀打ちできない。
レオの曲を武器と称した泉の言葉に、引っ掛かりを覚えるレオ。
不満なのかと思いきや、言い得て妙だとなんだか納得した様子。
レオは泉の言語センスを褒め、いつか自分の曲に歌詞をつけてくれ!そうすれば史上最高の傑作ができるかも!と嬉しそう。

けど、今はとてもじゃないけどそんな余裕はない。
かつての仲間との殺し合いであるライブ対決は毎日のように行われている。
この状況には、さすがの泉の疲れた顔。
気に食わない連中を蹴散らせるのは爽快だけど、さすがに意味もなく戦い続けるのは気がめいる。
せめてなにか目的があればいいのに…と零します。
ふと泉は、最近レオがファンの子達から『王さま』と呼ばれるようになったのをきっかけに、このまま周りの連中をぶっ倒して天下でも取ろうか?と言い出します。
けれどレオは泉の話をまるで聞いていないようで、リトル・ジョンと楽しく戯れ中。
泉の提案にレオはあまり興味がないみたい。
泉の話を無視して猫と戯れるレオに苛立った様子の泉。
踏んでやろうか?と横暴な態度を取る泉に、暴力反対!と叫びながら、そんなだから怖いとか誤解されるんだ!本当はこんなに優しくていい子なのに…!と言い出すレオ。
みんなに嫌われて可哀想だとわざとらしく慰めようとするレオにさらなる暴言で返す泉。
目つきが悪いから余計に怖い!と悲鳴を上げるレオですが、俺の容姿に文句あるのか、と不満を露わにする泉。
でも、文句なんてない。
レオは泉はいつでも綺麗だといい、まるでお月様だと例えます。
でも、泉に言わせれば月はレオ。
それはさておき、無駄話よりもレッスンをしようと言う泉。
けれどレオは今のユニット精度があまり馴染めないらしく、渋い顔。
持論を展開しながらつい熱がこもり、リトル・ジョンを強く抱きしめすぎたレオからリトル・ジョンを取り上げる泉。
本来なら触りたくないと言いつつも、その顔はなんだか優しげです。

ふと、レオに聞きたい事があると言い出す泉。
好きな人でも教えてほしいの?俺はセナが大好き!と勝手に話を進めるレオを素っ気なくあしらって、ユニットの名前を決めたいのだと説明する泉。
でも、ユニットの名前はチェスのはずだとレオは首を傾げます。
けれどチェスは分裂してしまった。
その後にユニット制度が試験運用されて、ユニットの名称やメンバーを登録するようになった。
チェスの名前は他の人に取られてしまったため、別の名前を考えなければいけない。
ちゃんと登録しないと公式のドリフェスにも参加できないみたい。
何でもいいから、と泉は言うもレオは名前にはあまりこだわりがない様子。
本音を言えば、やっぱりレオとしては名前がチェスがいい!と駄々をこねます。
レオは昔のチェスの音楽を聞いて育ち、かっこよかったあの時のチェスに憧れを抱いていたみたい。
けれどそんな我儘を言っても仕方ない。
便宜上とはいえ名前はやはり必要です。
分裂した他のメンバー達は元のチェスに配慮したのかチェスの駒の名前をつける傾向がある様子。
キングやクイーンは他に取られてしまい、早く決めないとポーンになってしまう。
でもすでにルークもビショップもナイトもユニット名として登録されてしまっている。
少しアレンジすれば大丈夫だろうという話になり、とりあえず複数形で…と割と安易に『Knights』が誕生します。

生徒会室を訪ねる真緒。
けれどそこにはいつもいるはずの蓮巳の姿はなく。
今の生徒会は何かに警戒するかのように防犯が厳重で、そのことに関わりたくない感じがする、と本能で察する真緒。
とはいっても、すでに生徒会の一員のような扱いを受けてしまっている。
そのことに複雑な気持ちになりながら、ふと珍しく重要な書類が出しっぱなしになっていることに気付きます。

あまり見るのもよくないから、と裏返すだけに留めようとした真緒ですが、そこに凛月の名前を見つけて思わず内容に目を走らせます。
そこには最近のドリフェスの名前と参加者がずらり。
今日の日付の場所。【チェックメイト】と書かれているそこに、参加者として凛月の名前が載っている。
凛月がライブに参加するのは珍しいが、悪いことではない。
むしろ応援するべきだと真緒は結論付けるも、気になるのはドリフェスの名前の横に並んだアルファベット。
ほとんどが【D】か【J】か【O】なのに、チェックメイトだけは【C】の表記。
なにか特別なドリフェスの印なのかも知れないが、結局はその真意は謎のまま。
けれどこれ以上詮索するのはよくないと真緒はそこで生徒会室を後にして、凛月の応援に行くか!と笑みを浮かべます。
一方、チェックメイトのステージでリハ中の凛月は、真緒が自分のことを考えている気がする、とご機嫌。
しかもまるでそれが当然のように自信満々で、これが愛なのだと独り言を漏らします。
そこに嵐が割り込んで、素敵な恋愛をしてるのね!と羨ましそうな笑みを浮かべます。
一方椚は生徒会の顧問になったことでより一層忙しく、すれ違いが続いている。
その状況を憂うように首を諌める嵐でしたが、泉にどうでもいいと一蹴され、リハに集中しろと怒られます。
どうやらチェックメイトは手を抜けない大事なライブらしく、泉もちょっとピリピリしている様子。
けれど、嵐にしてみればいきなり呼び出されて、律儀に応じているだけでも褒めて欲しいものだと不満顔。
凛月に同意を求めるも、凛月は凛月で前に世話になった恩返しの義理で付き合っているだけ。
馴れ馴れしくしないで、とドライな反応。
バラバラでいまいちやる気なのみんなの様子に不安を隠せない泉。
今日は『チェス』とのライブ対決。
ばらばらに分裂した中での最大勢力かつ、チェスの名前を引き継いだことで正統派みたいな勢いのある連中を相手にしなければならない。
レオもギリギリまで助っ人を集めに行っているものの、お先は真っ暗です。

一方、英智とつむぎもレオ達の仲間として参加するみたい。
けれどいまいち体調が優れなそうな英智につむぎは参加辞退を勧めるも、英智はそれを拒否。
これはレオから個人的に頼まれたことで、むしろつむぎを巻き込んで申し訳ない。
体はいまいちでも、気分は高揚していると英智はやる気を漲らせます。
ちなみに蓮巳にはしっかり怒られたようで、無理やり引き剥がしてここにきたみたい。
英智がチェックメイトを重要視するのは、レオに頼まれたこととは別の意味で大事な舞台だから。
その現場で自ら臨機応変に対処する必要があったみたい。
それなら他のfineのメンバーも呼ぶべきでは?とつむぎは言うも、まだ扱いきれていない連中を連れてきて混乱を招くのは避けたい。
あくまでも英智をつむぎが個人的に助っ人をしている、という構図がベストみたい。

つむぎはKnighsのユニット名すらあやふやのようですが、それも仕方ない。
最近ドッと増えたユニット名を覚えるのは至難の業です。
でもそれは、英智の狙い通りでもある。
大いなる目標のための下準備だと英智は笑います。
つむぎはまだ英智の計画の全貌を聞いていないみたい。
でもまだ実現するかも分からない道の途中。
それを口にするのは成し得なかった時に恥になるから、とまだ少し様子を見ているみたい。
英智は蓮巳と共に無秩序だった夢ノ咲にルールを与え、明確なチェスの盤上として再構築した。
結果、夢ノ咲の最大勢力であったチェスは分裂した。
それが英智のせいだとは気付かれないように巧みに。
怠惰に快楽を享受していた連中を殺しにかかる新制度。
それに焦ったチェスの面々は英智の思惑にまんまと嵌って次々とユニットを結成した。
ユニットには明確な人数制限はないものの、五人以上ではあまりメリットが得られないルールになっている。

それをさりげなく噂として流せば、中途半端に賢いと思っている連中ははっさりと食いついた。
巨大なグルどのようなチェスからそこそこ親しいものと徒党を組んで離反して、結果、上限五人程度の小集団が山のように出来上がったのでした。
英智はただ仕組みを作っただけ。
それだけで彼らが勝手に動いて、勝手に自滅していった。
得体の知れないままのチェスでいたならば、英智だって手が出せなかったのに。
思惑通りにバラバラになってくれたチェスを、あとは一つ一つ撃破していくだけ。
けれどこれは、あくまでも夢ノ咲を浄化する為の前哨戦に過ぎない。
Fine自らの出番ではなく、だからその役割をレオに担ってもらった。
どことどこのユニットをぶつけるか。
それは英智たち生徒会の采配でどうにでもなる。
もちろんレオが途中で負けてしまえばそれまでだったけど、天才であるレオは勝ち続けた。
それがレオ達Knighsの快進撃の裏側だと英智は語ります。

天才の才能は正当に評価され、結果高い踏み台となる。
そのほうが、いずれそれを討ち果たした時の英智たちの勝ちが高くなる。
エサは肥えさせるべきだと笑う英智。
それを聞いたつむぎはえげつないことをすると渋い顔。
でも主人公として名を残すかどうかはその行いの善悪ではなく、勝つか負けるか。
死ぬか生き残るかにかかっていると英智は言います。
けれどつむぎは、そんな役目をレオに託してよかったのかと首を傾げます。
レオが勝利し続ければ、当然レオの成績や評価はあがる。
それはいずれ手の付けられないほどの強敵になるのではないかと、つむぎは思っているみたい。
けれど英智としてはそれはそれで面白い。
でも英智にとってレオは友達だから、敵にはならない。
そもそもレオは喧嘩や戦争とかが苦手な節がある。
いずれ限界まで成長したなら身内に引き入れて、五奇人に対する最終兵器として使いたいと考えているみたい。

その為の仕込みもしてはいるけれど、レオはちょっと読めないとこがあり、英智にとっては予測不可能。
ここから先ちゃんと思惑通りに動いてくれるかは不安な部分みたい。
身内を愛し、低俗なチェスのメンバーすら大事にしていたレオは、かつての仲間達との戦いに耐え切れないと思っていた。
どこかで折れてしまった時、英智はそっと優しく手を差し伸べればよかった。
けれど英智の予想に反し、レオは今日まで戦い続けている。
一体何がレオを支えているのか。
それが英智にとっては謎みたい。
【あんスタイベネタバレ】「追憶 モノクロのチェックメイト」ストーリーネタバレ(その5)に続く
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