そんな紅月の熱いやり取りを、薫は少し複雑な気持ちで見ていました。
どうもみんな『卒業』という区切りを大袈裟に捉えすぎている。零の立つ鳥跡を濁さず的な態度も然り。
そんな姿をバカとまでは言わないものの、卒業しても自分達は『夢』ノ咲アイドルなのだから、卒業にももっと夢を持ちたいと考えているみたい。
その後、薫は講堂にいる主人公の元へ。
デッドマンズは主人公のプロデュースなので、その活躍を見守ろうとしていました。
薫は出番間近にも関わらず、主人公の隣に座ると、おもむろに話し始めます。
本当は、もっと主人公と距離を縮めたかったのだけど、結局隣に座る程度で終わってしまって残念がる薫に、なぜ距離を詰めたがるのかと聞く主人公。
始めは、主人公が女の子だからと、いつもの軽口で返してきたものの、薫は途中で自分の本音を初めて打ち明けます。
薫は、主人公にお母さんになって欲しかったみたい。

やや引き気味の主人公に、その反応も当然で、これ言うと女性から離れて行ってくれるので、女性関係の清算が楽でいいと笑います。
どうやら薫はこの先もアイドルとしてやっていく決意を固め、その為に足を引っ張られかねない女性関係を清算していました。
薫は、まずは死にもの狂いでアイドルを続ける。
そして、いつか自分を愛で包んでくれる誰かに出会えればいいと、希望を抱いているみたい。
本当は、主人公にその誰かになって欲しかった、と冗談交じりに付け足す薫。
そんな薫の初めての本音を深刻に聞く主人公に、薫は女の子は笑顔が一番と励ましてくれます。
そして、女の子の可愛い笑顔の為にアイドルとして一生懸命頑張る。
卒業は終わりではなく、新天地への飛び立ち。
だから笑顔で見送って、また会えるから。
そう言って薫は笑います。
薫は、卒業後は零と組んでアイドルをし、その後追いついてくるであろう晃牙とアドニスの為に、彼らを傷つけそうなものは片づけておこうと思っているみたい。
なんだかんだ言って、薫も零も後輩に甘いですね。
そして、薫は先に芸能界で待ってる。
また会った時に、頑張った主人公がとびきりの美人になっていたら、その時こそ本気で口説くと、薫らしい激励をくれます。
そして、薫はまた会おうと、笑ってお別れを言い、ステージへと向かうのでした。

ステージの上では、零がいました。
なんだ薫か、とガッカリする零に、薫は主人公に振られた傷心の身なのだから、慰めてくれ!と不満顔。
でも、主人公は嫌な事はきっぱりというタイプなのに、最後まで寄り添っていてくれたのだから、振られたわけではない、脈はあると薫を励まし、初めて薫の事を相棒と呼びます。
ようやく相棒と認めてくれた事に、薫も満足げで、これからは2人でやっていく絆を確かめます。
まだ見ぬ新天地にウキウキと血が滾るものの、その前にまだやる事がある。
後ろ髪を引かれては満足に暴れられないと言いながら、零は隅に身を潜めていた2winkの2人に声をかけます。
2人は、零にホワイトデーのお返しにきたと言うも、零には2人に何か贈った記憶はありません。
でも、2人は確かにいっぱい貰った。軽音部という新たな居場所を作ってくれた事。
そして、ここにいてもいいと言わんばかりに、優しく見守っていてくれた事。
2人の間が壊れそうな時も、零が優しく抱きとめてくれた事。
その全てへの感謝をこめて、ひなたとゆうたは、心からの感謝を零に捧げます。
そんな2人の逞しい姿に、零も喜び、2人に会えてよかったと微笑みます。

でも、2人からの贈り物は、これだけではありません。
そして、贈り物という名のサプライズゲストかつ今回のイベの主役でもある、晃牙がステージに登場します。
2winkの2人の過剰演出にげんなりしながらも、晃牙は零を『朔間先輩』と呼び、真正面から向き合います。
晃牙と呼んでも怒られなかった事に、驚く零。
でも、元々晃牙は『大神晃牙』であり、零は『朔間零』だった。
途中から零が腑抜けてしまったから、こんなの自分が一番カッコいいと思っていた朔間先輩ではない!と拗ねていただけ。
今を逃したら、もう朔間先輩と呼び事はなくなってしまう。
それは悔しいから、ステージの上にいる今だけは、昔のように名前を呼ぶつもり、いや、むしろこの場でぶっ倒すと宣言する晃牙。
そうすれば、自分はもう一人前だと証明できれば、今度こそ胸を張って朔間先輩と呼べるから。

そして、晃牙は零にライブ対決を申し込みます。
その為に、零もデッドマンズなんて過去のユニットを引っ張り出してきたみたい。
『UNDEAD』でなく『デッドマンズ』なら別のユニットとして対決できる。
それが晃牙の望みだったのを、零は分かっていました。
零は、可愛い後輩達を、ただ突き放すのではなく、正面から向き合い、けじめをつける為に、蓮巳の力を借りて、この場を設けました。
可愛い晃牙と別れるのは辛いけども、別れの時は必ず来る。
だったらせめて、後悔だけはしたくない。
正々堂々、戦おうと宣言する零ですが、晃牙はその前に、じじい口調を治せと言い出します。
どうやら、昔の零は今のようなおじいちゃん口調ではなかったみたい。
昔の口調を思い出せないと言う零に、昔の口調は晃牙自身の口調そのまんまだと言い放つ晃牙。

そこに、アドニスも合流し、いざ対決へ。
実はUNDEADも夜の部へ参加できるだけの成績は収めていたのです。
会話を重ねる中で、段々と零の口調も昔に戻り『うるせ〜な』が出た時には、そのワイルドさにちょっとドキっとしました(笑)
薫は意外がっていたけど、零は晃牙達なら夜の部のステージまでやってこれると信じていたみたい。
実は、UNDEADが夜の部に出る為に、Trickstarなど色んなユニットが宣伝など協力してくれてました。
すべては晃牙と零の望みを叶える為。それはとても嬉しい事だと笑い、晃牙は零に同意を求めます。
自分達は『はぐれもの』のはずだったのに。
晃牙だけでなく、Trickstarや2winkもみんな零に世話になった。
その感謝を込めた返礼を嫌っていうほど贈ってやる。
だってホワイトデーのお返しは、3倍返しが基本だから。
晃牙は楽しげにそう宣言します。

そして、晃牙は2winkの2人に審判を頼みます。
再び登場し、緊急ライブ対決を仕切る2wink。
でも、見ての通り、晃牙と零はラブラブなので、ただの惚気になっちゃうけど、呆れないでね?と前置きするのでした。【完】